パソコンでLEDを点滅させることができますか?
やっぱり最初は結果が目で確認できる光物が良いでしょう。写真のように光れば成功。
最初は素性がわかっているLEDを使って設計してみましょう。
今回は東芝のTLSU123(F)例に説明します。
1.データシートの見方
まずLEDのデータシートを見ます。その中で重要なのは VF(順電圧)とIF(順電流)です。
データシートを見る時は「電気的特性」と書かれた部分を見ます。LEDの場合通常の使用では「最大定格」を気にする必要はありません。「電気的特性」に書かれているVFの標準値とIFの値がわかればOKです。TLSU123(F)のデータシートから
VF(順電圧) = 2.0V
IF(順電流) = 20mA
これは、図1のように、LEDに20mAの電流を流したらLEDの両端の電圧が2.0Vになったよと書いてあるのです。
回路理論では理屈だけ説明して終わりです。
「だから~ それが何なんだよ!!」 「どうやって何に使うんだよ!」
みなさんそう思いませんか?これだけじゃ設計できないんです。そうなんです、ここから先が重要なのに、誰も教えてくれないんです。そしてここから先が一番楽しい部分なんです。
2.LEDの点灯回路を設計する
さあ実際に設計に入りましょう。
さて図2が乾電池4本を使ったLEDの点灯回路です。実際にLEDを点灯しようとすると、電源が必要になります。最初に電源の電圧を決めないと設計できません。今回は乾電池4本を直列にして、6VでLEDを点灯します。
LEDに20mAの電流を流すと、図1のようにLEDの両端は2Vになりますから、電源の6VからLEDの2Vを差し引いた電圧、4Vが抵抗の両端に加わります。
先ほどから「20mA流すと」なんて、すんなり書いていますが実際どうやって流すか書いていませんね。そう!LEDに流す電流は、LEDに接続している抵抗の値で調整するのです。
抵抗の両端に加わる電圧は4Vですから、20mA流すためには、かの有名なオームの法則から
R(抵抗値)=E(電圧)/I(電流) → 4V/0.02A = 200Ω
となり、図2の?Ωは200Ωになります。
3.LED点灯のまとめ
- LEDのデータシートの「電気的特性」からVFとIFを調べる
- LEDを点灯するための電源の電圧(VCC)を決める
- LEDに直列に接続する抵抗の電圧(Vr)を計算する Vr = VCC - VF
- 抵抗の電圧VrとIFから抵抗の値(R)を計算する R = Vr / IF
これで設計の完了です。
このまま作っても良いのですが、TLSU123(F)を入手できる人はなかなかいないでしょう。それどころか、素性の不明なLEDを持っている人が多いのではないでしょうか。実際電子工作をしようとすると、いろんな障害が出てきます。それではこの壁を乗り越えるために、もう少しお付き合いください。
4.LEDの点灯回路を設計する
写真1は、IFを変えてLEDを光らせた様子です。 左から順に
200Ω 20mA 300Ω 13.3mA
620Ω 6.5mA 2.4KΩ 1.6mA
4.7KΩ 0.85mA 10KΩ 0.4mA
です。
どうですか?左の3つは誰が見ても点灯しているようにみえますね。そして明るさもそんなに変わりません。実は右の3つも単体で見るとちゃんと点灯しているように見えます。
つまりIFが多少変わっても実際に目で見た明るさはそれほど変わらないのです。
ほとんどのLEDが、5mA~20mA流せば点灯します。抵抗値も写真の例のように、200Ω~620Ωとかなりラフな設定ができます。プロはこの性質を利用して次のような手抜きをします。もちろんデータシートなんて見ません(笑)
- VFを1.5V~2.0Vの範囲と仮定する。
- IFを10mA~20mAの範囲に設定する。
これだけでほとんどのLEDがきちんと点灯します。ところで、VFとIFの範囲はどうしたら良いのでしょう。
答えは・・・・・ 各自好きな値を使ってください。
冗談を言ってる訳ではありません。本当にそんな程度で設計できるのです。